2010年教師学事例研究会のご報告

2010年8月7日(土)、第8回「教師学事例研究会」が金沢工業大学大学院虎ノ門キャンパス(東京都港区)で開催されました。(主催:教師学事例研究会実行委員会)

教育とコミュニケーション力(りょく)

「教師学」による具体的対応と可能性

午前中には3名の方々による教育現場からの事例発表、午後には8つのテーマに分かれてのグループセッションが行われ、全国各地からの参加者による活発な意見交換の場となりました。

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*教育現場からの事例紹介*

中学校から

希望をもたらす「教師学」

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− 自分のスタンスが明確になり迷いが吹っ切れた
もっと早くに出会いたかった「教師学」−

公立中学校理科教諭 学年主任
金本 佐紀子さん

理科室整備の際に環境改善を用いることで、生徒が作業過程において真剣に、不安を抱かずに取り組むことができるようになった事例。また、生徒への能動的な聞き方、保護者との会話でのわたしメッセージ、修学旅行の企画会議での勝負なし法など、実践成果の事例紹介。

保育園から

保育現場での「教師学」の実践とその効果

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− ゴードンメソッドを保育園全体で取り組む試みについて−

私立二之宮保育園園長
前橋市私立保育園園長会 副会長
村中 祐邦さん

保育園全体で10年計画としてゴードンメソッドを取り入れた試みの1年目の成果についての発表。保育士が園児に能動的な聞き方やわたしメッセージを使った事例、また、教師学のプログラムを取り入れた効果についてのアンケート結果の紹介。

小学校から

発達障害児の支援に活かす「教師学」

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− 現場における効果的な「教師学」の活用について−

特別支援教育士
ムーブメント教育教師・療法士
木 江里子さん

発達障害児に能動的な聞き方をする際に、障害特性への理解を踏まえた上で対応をした実践事例の紹介。その他、児童同士のトラブルに対しての介入的援助、また障害特性に沿った環境改善などの実践事例の紹介。

3名の発表後の質疑応答では、参加者から熱心な質問が出され意見が交わされました。

*ポスターセッション*

各地での「教師学」や「親業」の実践事例をポスター発表。
発表者への質問時間には、多くの参加者が発表者の説明に耳を傾け、質問をしていました。

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ラジオの絆 〜言葉の力を信じて ON AIR!〜相浦 やよい

番組で流した歌の詩から「サインを見逃さない!」というメッセージの紹介、スタジオを訪れた子どもたちの「宣言のわたしメッセージ」を電波で公開、および、絵本の中から能動的な聞き方を紹介するなどの取り組みについて。

大学で「教師学」を学ぶ学生たち・・・そのあれこれ阿部 正直

「生徒の心を聴く能動的な聞き方」と「教師の思いを伝えるわたしメッセージ」に関して、講義や演習を通して学んだことや感じたことについての生徒のレポート。また、教師学の技法についての感想、および、それらを学び終えての感想など。

生徒・保護者とハッピーコミュニケーション♪香月 ゆかり

英語教室での生徒との実践例について、教師学を知らなかった時と受講後の対応とを英字漫画にして紹介。

保育園での生の実践事例
−ホントに現場で使えるの?(私の中のジレンマ)−小室 光代

子どもとの間に心のかけ橋をかけるコミュニケーション方法を身につけていながら、時間や日課に追われ保育現場で使いこなせないでいるためにジレンマを抱えている保育士の現状を紹介。

「先生には言えないけどね・・・」
〜先生に言われてイヤだったこと、嬉しかったこと〜式場 敬子

教育現場での先生の言葉に対する生徒たちの受け取り方についての紹介。また、生徒の言葉に対する先生の対応の変化と、それを受け取る生徒たちのこころの変化についての紹介。

「教師学」のスキルで築く絆のあれこれ
−保護者と・生徒と・同僚と−園元 恭子

学校内の様々な場面で教師学のスキルを使って対処した事例の報告。教師が生徒に模範を示したことで6年後に明かされた感動の出来事、子どもの成績についての悩みを教師に能動的な聞き方で聞いてもらった保護者からの手紙、同僚への対応など。

九州地区教師学研究会 15年で見えてくること土岐 圭子

教育現場の現状を見つめ、それを乗り越え前進するための研究会活動を継続している。厳しい状況におかれている教育現場の問題点(教師の休職、中途退職等)の紹介、及び、教えることに喜びを感じられるように心がけていることについての紹介。

感じたことを伝えていいんだ松尾 千景

岐阜県内市立小学校での一日学習会の報告。1〜6年生の生徒を対象に気持ちのワークの授業の後、保護者向けに親業参加型講演会を実施。生徒と保護者の双方にゴードンメソッドを話すことの有効性についてなど。

介入的援助をするための関係づくりとその効果溝木 京子

「生徒の友人関係トラブル」に先生が関わる時の介入的援助とその流れや効果についての説明。

*グループセッション*

8つのテーマの中から各自が関心の高いテーマに集い、意見、情報交換をしました。

授業、学級経営に活かす教師学

特別支援教育に活かす教師学

いじめや不登校にどう関わるか

教育相談・生活指導に活かす教師学

教師と親−どうしたら本音で語りあえるか

保育現場のコミュニケーション

教えて、もっと使える教師学

ゲーム機、携帯電話と子ども同士の人間関係

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話し合いに参加した方々の感想を一部ご紹介します。

*事例研究会全般についての感想の一部をご紹介します。(同一内容をまとめて掲載)